スタティックアプネアを知った人の多くが、同じことをします。毎晩できるだけ長く息を止めて、数字が伸びるのを期待するのです。数日は伸びることもありますが、やがて頭打ちになります。最大努力のトライはテストであって練習方法ではなく、それを繰り返しても、耐性よりも緊張のほうを体が覚えてしまいます。

このプログラムはその逆を行きます。練習時間のほとんどを最大記録よりかなり低いところで過ごし、二酸化炭素が上がっていく中でもリラックスしていられるようになることを目指します。記録への挑戦は2回だけです。対象は、タイマーと静かに横になれる場所があれば自宅でドライ練習ができる、まったくの初心者です。

4週間
記録を測るための短い0週目つき
3
週あたりの息止めセッションの上限
2
記録の再測定(2週目と4週目の終わり)

始める前に

必要なものはごくわずかです。ベッドやソファ、マット、テーブルを実行できるタイマー、そして練習日に15〜30分の時間。記録はノートでもかまいませんが、息止めの時間と最初の収縮のタイミングを記録してくれるアプリがあると、2週間ごとの振り返りがずっと楽になります。

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プログラム全体を通じた安全ルール

練習は必ずドライで、横になるか座った姿勢で行い、立ったまま、運転中、入浴中には絶対に行わないでください。息止めの前に過換気をしないでください。めまい、手や唇のしびれ、視覚の変化など、いつもと違う感覚があればすぐに中止してください。訓練を受けたバディの見守りなしに、水中で息を止めないでください。心臓や肺の疾患、てんかんがある方、妊娠中の方は、始める前に医師に相談してください。

過換気については特に説明しておきます。速く深い呼吸は二酸化炭素を減らし、呼吸したいという衝動を遅らせますが、意味のある量の酸素を増やすことはありません。蓄えは増えないまま警報だけを外してしまうわけで、これこそが多くのブラックアウトの背後にある仕組みです1。このプログラムの呼吸練習は、すべてゆっくりと落ち着いたものです。

0週目:安全に自己ベストを測る

自己ベスト(PB)は、この先すべての基準になります。体が休まっている日に、たっぷりの食事から少なくとも2時間空けて測りましょう。

  1. 1日目:腹式呼吸を覚える横になり、約4秒かけてお腹に息を吸い込み、約8秒かけて吐きます。これを10分間続けます。ゆっくりした腹式呼吸はストレスの軽減や注意力の向上と関連しており2、すべてのセッションの土台になります。
  2. 2日目:休むか、呼吸練習を繰り返す息止めはしません。やりたければ、10分間のゆっくりした呼吸を繰り返します。
  3. 3日目:自己ベストの測定横になり、3分間落ち着いて呼吸します。最初の本格的な呼吸衝動が来たところでやめる軽いウォームアップの息止めを1回行い、3分間休みます。無理のない範囲でしっかり息を吸って止め、できるだけ力を抜きます。やめたいと思ったところでやめ、数回のリカバリー呼吸をします。さらに3分間落ち着いて呼吸したあと、2回目に挑戦してもかまいません。良いほうのタイムを記録します。

方法の詳細は自己ベストの測り方で解説しています。この数字で誰かを驚かせようとしないでください。リラックスして出した本当の自己ベストなら適切なテーブルが作れますが、無理をして出した記録では難しすぎるテーブルになってしまいます。

4週間プランの全体像

構成は毎週同じです。息止めのセッションの間には必ず軽めの日を1日以上挟み、1週間の負荷は控えめに保ち、2週目と4週目の終わりは軽い日のあとの再測定に充てます。

4週間を1日ずつ CO2テーブル 軽めのO2テーブル 記録の再測定 呼吸練習または休息
月 火 水 木 金 土 日 1週目 CO2 呼吸 CO2 休息 CO2 呼吸 休息 2週目 CO2 呼吸 CO2 休息 呼吸 PB測定 休息 3週目 CO2 呼吸 O2 休息 CO2 呼吸 休息 4週目 CO2 呼吸 O2 休息 呼吸 PB測定 休息
図1. プログラムの全体像。息止めのセッション(青と緑)が連続した日に来ることはなく、記録の再測定(オレンジ)は必ず軽い呼吸練習の日のあとに行います。
1週目から4週目までの日別プラン
曜日1週目2週目3週目4週目
月CO2テーブル、6ラウンドCO2テーブル、8ラウンドCO2テーブル、8ラウンド(新しいPB)CO2テーブル、8ラウンド
火呼吸練習、10分呼吸練習、10分呼吸練習、10分呼吸練習、10分
水CO2テーブル、6ラウンドCO2テーブル、8ラウンド軽めのO2テーブル、6ラウンド軽めのO2テーブル、6ラウンド
木休息休息休息休息
金CO2テーブル、6〜8ラウンド軽い呼吸練習、10分CO2テーブル、8ラウンド軽い呼吸練習、10分
土呼吸練習、15分PB再測定呼吸練習、15分PB再測定
日休息休息休息休息
息止めテーブル3回テーブル2回+測定テーブル3回テーブル2回+測定

順番を守り、息止めのセッションを2日続けて入れない限り、表全体を自分の1週間に合わせてずらしてもかまいません。

3種類のセッションの解説

呼吸練習の日

横になって目を閉じ、ゆっくりした腹式呼吸を行います。吸うのは約4秒、吐くのは約8秒です。1週目と3週目の土曜日は、15分のうち一部をボックス呼吸(4秒吸う、止める、吐く、止める)に充てます。この日は長い息止めはしません。それぞれのパターンはブレスワークのガイドで解説しています。

CO2テーブル

ホールドは自己ベストの約50%で固定し、リカバリーはPBの約3分の2(ただし2:00未満にはしない)から始めて、ラウンドごとに15秒ずつ短くしていきます。PBが2:00なら、ホールドは1:00、リカバリーは2:00、1:45、1:30、1:15、1:00、0:45、0:30、0:15となります。1週目は6ラウンドで止めます。この構成が効果的な理由はCO2テーブルのガイドで説明しています。

1週目のCO2テーブル(自己ベスト2:00) リカバリー ホールド
図2. 1週目は6ラウンド。ホールドは変わらず、短くなるのはリカバリーだけです。2週目からは、リカバリー0:30と0:15の2ラウンドを最後に追加します。

軽めのO2テーブル(3週目と4週目)

CO2の練習に慣れてきたら、週に1回のO2テーブルで長めのホールドを取り入れます。リカバリーは2:00で固定し、ホールドはラウンドごとに長くなります。このバージョンはあえて軽めにしてあり、6ラウンドで、PBの約3分の1から始めて約70%で終わります。最大記録には遠く届かない設定です。PBが2:00なら、0:40、0:50、1:00、1:05、1:15、1:25となります。完全版については、あとでO2テーブルのガイドを参照してください。

自己ベストの再測定

軽い呼吸練習だけを行った翌日に、0週目とまったく同じ手順で測ります。そのあと、記録が伸びても、変わらなくても、下がっても、新しい数字でテーブルを計算し直します。疲れている日は低い結果になることもありますが、それは失敗ではなく情報です。

典型的な1週間

3週目は、このプログラムでもっとも充実した週です。下のグラフは各日の相対的な負荷を示しています。呼吸練習の日は短く楽なもので、休息日は息止めを完全に休みます。

3週目の相対的な負荷 CO2テーブル 軽めのO2テーブル 呼吸練習または休息
図3. 3週目の負荷の模式図。3回の息止めセッションのあとにそれぞれ軽めの日を置くことで、疲労をためずに規則的な刺激を保ちます。

きつすぎる、または楽すぎると感じたら

パーセンテージはあくまで出発点であり、決まりではありません。調整は一度に小さく1段階ずつ行い、1回ではなく2回のセッションで判断しましょう。

  • きつすぎる場合:CO2テーブルの5ラウンド目より前にホールドを途中で切り上げなければならないなら、次回はホールドを15秒短くするか、最後のラウンドのリカバリーを0:15まで下げずに0:30で止めます。
  • 楽すぎる場合:8ラウンドすべてを一度も収縮が来ずに終えられたなら、ホールドを15秒長くします。
  • O2テーブルがきつすぎる場合:最後のラウンドを外します。最後のホールドは、きついけれど明らかにコントロールできている、と感じる程度が適切です。
  • 疲れている、体調が悪い場合:その日は呼吸練習だけにするか、休みましょう。テーブルを1回休んでも何も変わりませんが、疲れを押して練習するとしばしば状況は悪くなります。
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適切なレベルとは

良いテーブルは、終わりにきつくても落ち着いていられるものです。最後のラウンドが闘いのように感じられるなら、その日のあなたには難しすぎます。いくらでも続けられそうなら、簡単すぎます。

4週間後に期待できること

自己ベストがどれだけ変わるかを予測することはできず、数字を約束する人は当て推量で言っているにすぎません。反応には大きな個人差があります。アプネア初心者を対象にした研究では、短期間の毎日の息止めトレーニングでさえ、潜水反応や脾臓の収縮にどう影響するかが調べられています3。しかし多くの初心者にとって、最初にはっきり現れる変化は、生理的なものよりも、快適さやリラックスに関わるものです。

記録そのものより、注目しておくと役立つ指標があります。スタティックの息止めでは、最初の不随意な収縮が楽な局面の終わりと苦しい局面の始まりを示します4。同じCO2テーブルで最初の収縮が来るのが遅くなったり、収縮をそれほど怖く感じなくなったりしていれば、体は適応しています。収縮とは何か、そしてなぜそれ自体は危険信号ではないのかは、アプネア中の収縮についての記事で解説しています。

初心者が最初に手にする成果は、肺の中にあることはまれです。それは、体が呼吸を求めているあいだも静かにしていられる力の中にあります。

プログラム後の次のステップ

4週目を終えると、新しい基準となる自己ベストと1か月分の履歴が手元に残ります。テーブルを計算し直して、間に軽めの週を挟みつつ2回目のブロックに取り組むこともできます。自分で計画を立てずに体系立った練習をしたいなら、Anima Apneaの4週間トレーニングプランも同様の構成で、週3〜6回のセッションと、2週目・4週目の終わりの記録測定が組み込まれています。

スタティックアプネアをきっかけに水中でのフリーダイビングに興味が湧いたなら、次の一歩はきちんと踏み出しましょう。認定講習(AIDA、Molchanovs、SSI、PADI Freediverなど)では、水中での技術、バディの手順、レスキューを学べます。水中での練習を安全に続けるには、監督付きのプール練習があるクラブに参加するのが一番です。プールに行けない日には、ドライトレーニングが引き続き良い補完になります。

よくある質問

息止めの練習をしたことがなくても、このプログラムを始められますか?

はい、まさにそういう方のためのプログラムです。すべて横になった姿勢でドライで行い、数字はすべてあなた自身の自己ベストから導きます。心臓や肺の疾患、てんかんがある方、妊娠中の方は、まず医師に相談してください。

4週間で自己ベストはどのくらい伸びますか?

具体的な数字は誰にも約束できません。最初の数週間で目に見えて伸びる初心者もいますが、その多くはリラックスが上手になったことによるものです。最大記録はほとんど変わらなくても、苦しい局面でずっと落ち着いていられるようになる人もいます。どちらも上達です。

セッションを1回休んでしまったらどうすればいいですか?

その回は飛ばして、予定どおり次の日のメニューに進んでください。取り戻そうとして同じ日や連続した日に2つのテーブルを詰め込まないでください。1回のセッションよりも、4週間を通じた継続のほうが大切です。

テーブルをプールや浴槽で行ってもいいですか?

ひとりでは絶対にいけません。このプログラムは横になって行うドライトレーニング用に設計されています。浴槽を含め、水の中での息止めは、訓練を受けたバディが最初から最後まで見守っている場合以外は決して行わないでください。

4週目が終わったら何をすればいいですか?

最新の自己ベストでテーブルを計算し直して2回目のブロックに取り組むか、先に1週間ほど軽めの練習を挟みましょう。水中でフリーダイビングをしたいなら、次のステップは認定講習を受けること、そして監督付きのプール練習があるクラブに参加することです。

計算いらずで4週間プランに取り組む

Anima Apneaは、あなたの記録からCO2テーブルとO2テーブルを作成し、各ラウンドを音と振動の合図でガイドし、収縮をタップで記録させてくれます。記録測定も2週目と4週目の終わりに組み込まれています。

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参考文献

  1. Craig AB Jr. Causes of loss of consciousness during underwater swimming. Journal of Applied Physiology, 1961.
  2. Ma X et al. The effect of diaphragmatic breathing on attention, negative affect and stress in healthy adults. Frontiers in Psychology, 2017.
  3. Engan H et al. Effects of two weeks of daily apnea training on diving response, spleen contraction, and erythropoiesis in novel apneists. European Journal of Applied Physiology, 2013.
  4. Lindholm P, Lundgren CEG. The physiology and pathophysiology of human breath-hold diving. Journal of Applied Physiology, 2009.
LM
Lucas Massoni

スタティックアプネアのトレーニングアプリ「Anima Apnea」の開発者。息止めトレーニングの方法論、生理学、安全について執筆しています。